第1〜4章(1A〜2B)












第1章=1A「すべての歴史」

 
 ゴダールが「映 画 史」への旅に出発する。何も変えるな、すべてが変わるために、というブレッソンの言葉(「シネマトグラフ覚書」)と、戻るは大事業、大難事という詩人ウェリギリウスの言葉が、壮大な旅の冒頭を飾る。並みの通史的な映画史ではない。膨大な量の映画を、文学、哲学、絵画、音楽、現代史とモンタージュして真の映画を追求する、他の誰にもできない映画史だ。引用の嵐。しかし引用のもとを知る必要もないほどの豊かな叙情の力が疾走して、未知の映画体験を味わわれるだろう。
<すべての歴史>は、映画の誕生から始まる。
(51分)


第2章=1B「ただ一つの歴史」

 
 「映 画 史」全8章で、第1章は1A、この第2章<ただ一つの歴史>は1Bとされ、各章のAとBが対をなすことを示しているが、カサヴェテスとローシャに捧げられたこの章では、歴史と物語の孤独を主テーマに、ヒンデミット、レナード・コーエン、ジャニス・ジョプリンや、ジャン・ルノワールらの声で異常に重層的なサウンドを創りだし、イヴェンスやドヴジェンコ、ドライヤーらゴダールが敬愛する作家たちへのオマージュから、映画への検証に展開。1Aと1B は1989年に発表(WOWWOWで、次いでNHKでも放映)した初版を、今回新たに編集した決定版だ。
(42分)
  


第3章=2A「映画だけが」

 
 歴史家の仕事は何か。歴史で起きなかったことを明確に記述すること。映画批評家セルジュ・ダネーとの対話で過激な映画史論が展開する。映画は20世紀の産物か? いや、19世紀の産物。ヌーヴェル・ヴァーグ以後の世代には、見る映画の数が急激に増えた? いや、映画史を通して10本あるかないか。しかし映画は、映画だけが、歴史たりうる唯一の芸術だ。映画だけが、自らを未来に投げ出す。「狩人の夜」。ジュリー・デルピーが読むボードレールの<旅>。クリムトの絵。夢まぼろしの映画世界が現出する。
(27分)
  


第4章=2B「命がけの美」

 
 ド、レ、ミ、ファ…ファタール。宿命の、命がけの美。命がけの瞬間。性と死は、映画の歴史がまだ幼い頃から二つの大きなテーマだった。銃を見せるカメラは男性性器の位置に、女性を見せるのは胸の位置に。愛の物語の奥には乳母の歴史がある。アルベルティーヌ。マルセル・プルースト…。映画が芸術でも技術でもないのなら何なのか? 神秘…。サビーヌ・アゼマの言葉にヘルマン・ブロッホの<ウェルギリウスの死>が輝く。時を語る不可能な挑戦、ウェルズの「偉大なるアンバーソン家の人々」。
(29分) 
 

監督・編集:ジャン=リュック・ゴダール
出演・声:ゴダール、ジュリー・デルピー、サビーヌ・アゼマ、アラン・キュニー、ジュリエット・ビノーシュ、セルジュ・ダネー、ジャン=ピエール・ゴス、アンヌ=マリー・ミエヴィル、アンドレ・マルロー、パウル・ツェラン、エズラ・パウンド、GAUMONT, PERIPHERIA, CANAL PLUS,LA SEPT, FR3, JLG FILMS, CNC, RTSR, VEGA FILMS, FEMIS/(C) GAUMONT 1998
配給:フランス映画社、バウ・シリーズ作品
協力:IMAGICA、ソニー・映像ソフトセンター、アテネ・フランセ文化センター、デジタルプラス、紀伊国屋書店
日本語字幕=<映画史翻訳集団2000>=松岡葉子、武田潔、堀潤之、橋本一径、ベルナール・エイゼンシッツ、アンドリュー・リトヴァク、蓮實重彦、浅田彰、山田宏一、奥村昭夫、小沼純一、藤原えりみ、細川晋、野谷文昭、桜井美奈、金谷重朗、吉岡芳子、冨田三起子、高水美佐、竹内紀子、川喜多和子、柴田駿……

第5〜8章(3A〜4B)


イントロダクション
ゴダールの「映 画 史」出発から完成まで
第1〜4章(1A〜2B)  第5〜8章(3A〜4B)
「映 画 史」をめぐって(野崎 歓) 全文


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