恋ごころ

VA SAVOIR(ヴァ・サヴォワール)は、その時その場になってみないと何が起きるかわからない・・・、という原題です。

<SENZA FINE(センツァ・フィーネ)>収録のペギー・リーのアルバムCDが発売中。

■TRANS CONTINENTSが「恋ごころ」に協賛、<恋ごころ・Tシャツ>も特製

すぐれた映画をサポートしつづけているTRANS CONTINENTSでは「恋ごころ」への協賛を決定。TRANS CONTINENTS特製で、「恋ごころ」のヴィジュアル・イメージをあしらったオリジナル・Tシャツを制作し、全国ショップで発売中。税別4800円。東京では、神南店・新宿店・池袋店でお求めいただけます。

■<SENZA FINE(センツァ・フィーネ)>収録のアルバムCDが発売中

ペギー・リーの<SENZA FINE(センツァ・フィーネ)>収録のアルバムCD:“In Love Again : In the Name of Love”を東芝EMIが緊急輸入。都内主要レコード店で発売中。

■ペギー・リーさんが亡くなられました

「恋ごころ」のエンディング・シーンを最高の至福感で包んでくれる歌<SENZA FINE(センツァ・フィーネ)>のペギー・リーさんが1月21日、亡くなられました。謹んで哀悼の意を表します。


この映画は、見終わったときに、得も言われぬ心地よさを感じる映画である。
壮大なアクション映画などの後の爽快感とは異なり、もっと上質で、しっとりとした心地よさ。他ではなかなか感じることがないような、不思議な幸福感に包まれる。抱えていた悩みがどうでもよくなり、自由奔放に生きてみたくなることだろう。同時に、「人生って、楽しいのかもしれない。」と貴方の人生の中に一筋の光を見出すであろう。

映画の内容そのものは、まったくの恋愛コメディだ。主人公である劇団の看板女優カミーユが、3年ぶりに、恋人ウーゴと共にイタリアからパリに戻ってくる。しかし、そのパリには、カミーユの元恋人であるピエールが住んでおり、カミーユは常に意識してしまう。そこで突如として昔の恋人ピエールに遭遇してしまうのだ。そしてその横にはピエールの現在の恋人がおり、、と、なんとも若者向けの恋愛ものの邦画のような展開なのだ。

彼らが織りなす恋愛ドラマ(もはや人生ドラマといえるのかもしれない)が主な内容である。現実では起こり得ない展開が、恋愛コメディ映画ならではの特徴だが、この映画は実に奇妙なほどその展開の数々がリアルに描かれているのだ。

しかし、人によっては、退屈さを感じてしまうこともあるだろう。2時間半という上映時間は映画の中身のわりには、ちょっと長すぎる印象があるのだ。いわゆるフランス映画の王道であるため、軽妙なテンポのストーリーと、美しい絵を堪能するにはうってつけの映画だが、深い内容を求める方にはあまり向いていないともいえよう。

とはいえ、この映画の鑑賞後は、得も言われぬ「心地よさ」に身を包みこまれることは確かである。「絵の美しさ」「描写された女性の自由奔放さ」「恋愛コメディならではの、テンポのよさ」この3つを存分に2時間半堪能することで、人生を優雅に生きているような気持になるのだ。

2時間半の間、特に自分に知識を与えてくれたりするわけでもなく、とりわけ利益をこうむるわけでもない映画を、ただただ眺める。これがまた非常に贅沢な時間なのである。監督であるジャック・リヴェットらしい、様々な表現の工夫を感じるカットの数々。そしてフランス映画らしい、女性の描写。この映画の中の女性は、皆大人であるはずなのに、幼い子供のように、自由で、素直で、まっすぐで、ワガママなのだ。その自由奔放さは、観る者を恍惚とさせる不思議な引力のようなものをもっているのだ。恋愛というものは、大人の人生の潤いに必要不可欠なんだろう、と思うことであろう。

また、恋愛コメディならではのテンポの良さ。一見、この映画のあらすじだけみると、なんだか退屈な、中学生向け恋愛漫画のようだと感じる方も多いであろう。しかし、監督ジャック・リヴェットの魔法にかかると、そのストーリーはテンポよく動き始めるのだ。退屈そうだと感じたストーリーでさえ、みるみるうちに、映画の世界に吸い込まれるのだ。やはり、フランス映画の王道といえる映画である。